社長語録
創業59周年記念の挨拶(2022/11/29)

第一コンサルタンツは昭和38年11月29日に創業しました。今日、満59歳を迎えました。

人間には厄年がありますが、会社にも同じように厄年があると思います。

今年は第一コンサルタンツにとって前厄に当たります。来年が本厄、再来年が後厄になります。どんな大きな厄(わざわい)が来ようとも、社員が一丸となって、目の前のやるべきことに対して精一杯努力をすれば、厄を乗り越えることができます。そして、それを乗り越えたとき、社員も会社も一段と大きく成長できると確信しています。

 

今日は、創立記念日です。毎年、話していることですが、当社の社訓についてお話をさせていただきます。

社訓が「情熱、謙虚、誠実」であることを知らない社員はいないと思います。「社長の話は、もう耳にたこができた」と思われる社員が多いと思います。今日はこれまでとは違った話題を紹介しながら、社訓の話しをさせていただきます。

7年前の平成27年8月に本社をここに新築しました。そのとき、「仏作って魂入れず」になってはいけないと思いました。魂とは、社員が守るべき行動規範です。

「会社も立派だが社員も立派だ、さすが第一コンサルタンツだ」と言われるようになるには、社訓が必要です。

そんなとき、元・中芸高等学校の校長で、書道家の竹内土佐郎先生が、「新築祝いに何か書を書いて差し上げたい」とおっしゃって下さったので、研修室の入り口の壁に飾ってある社訓「情熱 謙虚 誠実」を揮毫してもらいました。

社員の出入り口、食堂、3階と4階の執務室の壁に飾ってある社訓は、河川砂防課の生田万祐子さんに書いてもらったものです。

「情熱 謙虚 誠実」を社訓に決めたのは、社屋を新築したときですが、平成25年の創立50周年記念式典の挨拶で、「情熱、謙虚、誠実をモットーに、更なる精進をして参ります」と話しています。

会社が100年企業に向けて成長し続けるには、「情熱、謙虚、誠実」を社員が常に意識して行動する必要があると思っています。

 

今日は、「情熱」についてお話しします。いくら能力があっても、技術が優れていても、「情熱」つまり「やる気」がなければ成果は出せません。

世の中で成功した人に共通していることは、情熱が並大抵ではないということです。

今年の8月に90歳で他界しましたが、京セラ創業者の稲盛和夫会長は、「誰にも負けない努力をすること」が大事だと常日頃話されていました。

日本電産創業者の永守重信会長は、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」、「情熱、熱意、執念」の精神で、小型モーターでは世界一の企業に成長させています。

お二人とも日本を代表する世界的な経営者です。そんな偉い人の話しをされてもピンとこないと思っておられると思います。比較的身近な人のことをお話しします。

私が敬愛する一人に、高知丸高の創業者・高野広茂会長がいます。高知丸高は年間売上げが90億円で、純利益率25%を叩き出しているとんでもない会社です。わが社の純利益率は10%です。建設コンサルタンツ協会の平均が4%ですので、当社は決して悪くないのですが、高知丸高にはとても及びません。純利益率25%というのは、建設業界で断トツです。

高野会長が一代でここまで会社を成長させることができたのは、仕事に対する執念ともいうべき情熱であると思います。

高野会長は若いころに虫歯になったそうです。虫歯になれば治療に時間がかかり、仕事に差し支えます。虫歯にならない前に全部抜いて総入れ歯にしたということです。ここまで仕事を優先させる人は聞いたことがありません。

会長の次男が参議院の高野光二郎議員ですが、その奥さんの慶さんからこんな話しを聞きました。

「お義父さんはいつも考えごとをしている。食事の時も、アイディアを思いついたら色鉛筆でスケッチブックに描いている」

平成28年に台湾南部地震がありました。そのとき、橋梁の被害調査に高野会長とご一緒しました。

桃園駅から台南駅まで高速鉄道で移動したとき、私は本を読んだり居眠りをしたりしていたのですが、隣の席の高野会長はずっとスケッチブックを広げて津波対策に関するアイディアを考えておられました。台南駅に着く直前に、「右城さん、良いアイディアが浮かんだ」とスケッチブックに描いた図面を見せてくれました。

高野会長は私より13歳年上です。旅の疲れを微塵も見せない気力と体力に驚かされたことでした。

高野会長は、毎朝4時に起きて、3時間かけて前日の反省と当日の仕事の段取りを考えているそうです。「反省なくして進歩なし」が信条と言われていました。常にPDCAのサイクルを回して改善に努められているのです。

 

もう一人、紹介します。平成15年に他界されましたが、京都大学や名古屋大学で教授をされた成岡昌夫先生です。高知市のご出身で、構造力学や橋梁工学の本をたくさん出版しておられ、橋梁分野では知らない人がいないほど有名な先生でした。

その先生から、たびたび手紙をいただいていました。京都に住んでおられましたが、高知にもご自宅があり、平成8年に帰ってこられたとき、第一コンサルタンツに来て「縮少定理による断面力検証法」という講義をしてくれました。

成岡先生から次のアドバイスをいただきました。

①毎日コンスタントに努力すること。

②他人の1.5倍働くこと。

③この時間を生み出すには、枕に頭をつけた途端に熟睡に入る訓練をする(アルコール抜きで)こと。

④記事に必要なことはすぐメモする。出所を必ず記入しておくこと。

私は、このすべてを実行できていませんが、1つでも2つでもできるようにと心掛けています。

 

昨日、71歳だという山形県の見知らぬ男性から手紙が送られてきました。手紙には、「右城猛博士は、工学博士などの資格をたくさんとり、各大学の教授をし、著書もたくさん出され、会社の社長もしている。頭が良くて運が良いのがうらやましい」と書かれていました。

その男性は、日本大学大学院工学研究科建築学専攻を修了し、「一級建築士」「建築構造士」「建築主事」「工学修士」の資格を持っているようです。

建設会社で監理建築士をしていたが、70歳になったのを理由に辞めさせられたようです。同期でも大工や溶接などの技術を持った人は今なお働いているようです。同時に辞めた同僚の一人は、別の会社に行って現場監督を続けている、と手紙に書いてありました。

その男性は、私よりも遙かに頭が良くて(=勉強ができて)、生まれ育った環境にも恵まれています。それにも関わらず、人生が上手くいかないのは、「情熱、謙虚、誠実」が欠けているからだろうと思いました。

いくら能力や技術があっても「情熱、謙虚、誠実」のない人は上手くいかないことを改めて確信しました。

 

今日は創立記念日なので社訓の話しをさせていただきました。59周年を迎えることができたのは、社員、そしていつも支えてくれているご家族のお陰です。感謝の気持ちとして「田野屋塩次郎」のお菓子セットを用意しました。

田野屋塩次郎のお菓子は、にっぽんの宝物グランプリ、日本全国おやつランキンググランプリ、お土産グランプリに輝いていますし、JALの機内食に採用されたこともある高知県が誇る銘菓です。ご家族と一緒に召し上がって下さい。

社員の益々の活躍とご家族の幸せを念じて59周年の挨拶とします。

令和4年11月29日

社長 右城 猛