天崎鍾乳洞トンネル

 

 上図は、四国地方の地質図(地質調査総合センター作成のシームレス地質図)です。とてもカラフルで綺麗な図面ですが、それだけ四国地方には多種多様の地質が分布していることになります。
 当社の社業は公共事業を主体とした建設コンサルタントですが、対象となる構造物は道路では橋梁、トンネル、その他構造物、河川では河川堤防や樋門樋管、砂防では砂防ダムや斜面安定工などです。これらの構造物はいずれも地盤を基礎としており、地質と公共事業は
 切り離せない密接な関係となっています。
 県道土佐伊野線の「天崎鍾乳洞トンネル」は、トンネル施工中に学術的に貴重な鍾乳洞が発見され、それを保全するためにトンネル内に橋梁を構築した珍しい山岳トンネルです。
 当社は、このトンネルの地質調査と当初設計を行うとともに、鍾乳洞発見後の検討委員会の運営に携わりました。なお、鍾乳洞発見後の詳細な地質調査は応用地質株式会社、橋梁構造設計はパシフィックコンサルタンツ株式会社で実施しています。
 天崎鍾乳洞トンネルは、延長109mの山岳トンネルで、秩父帯三宝山層群の石灰岩の地山からなります。問題の鍾乳洞は、平成13年11月7日にトンネル掘削中に発見されました。
 その後、工事を一時中止して「天崎トンネル(仮称)・鍾乳洞調査検討委員会」(委員長:高知大学の鈴木堯士名誉教授)を発足し、鍾乳洞内部調査、トンネル工法検討、鍾乳洞保存について議論を行いました。
 その結果、道路と鍾乳洞に影響を与えないようにトンネルアーチ部の補強、路面部には橋梁形式を採用するとともに、将来の点検と一般公開のための管理用通路を設置しました。
 我々は公共事業が地質と密接に関わっていることを十分に理解し、その地質特性を把握するための調査を実施しています。
 地質は地球の極めて表層を形成するものですが、この天崎鍾乳洞トンネルは地球のロマンを感じることのできた仕事です。今後とも我々はこのようなワクワクする地球との関係を楽しみながら、地域に貢献できるように日々業務を実施していきたいと考えています。