四万十川に架かる橋梁の設計

■業務名:平成7年度 村道三島線測量設計委託業務

■発注者:高知県高岡郡四万十町(旧十和村)

業務の概要                             

 四万十町(旧十和村)昭和において、四万十川最大の中州・三島があります。中州・三島には、水田が一面に広がっており、北東部には三島キャンプ場があります。中州の下流側にはJR予土線の橋梁(トラス橋)が四万十川を横河しています。
 中州への連絡橋として沈下橋が架設されていますが、河川の水位が上昇すると通行できなくなります。本業務では、安全に通行できる抜水橋として、中州・三島と四万十川左岸を結ぶ轟橋(とどろばし)の設計を行いました。
 轟橋は橋長150.0m、有効幅員6.5m(車道5.0m+歩道1.5m)の3径間連続PC箱桁橋です。橋梁形式は経済性、施工性および四万十川に架かる橋であることから景観も重視して、決定する必要がありました。親柱や高欄のパースを作成し、橋梁形式を踏まえて有識者の意見を参考に設計を行いました。
 架橋位置は現地状況と利便性を考慮して、沈下橋とJR予土線の橋梁との間としました。現道との取合せ位置より橋台位置が決定され、河川条件より河川内に橋脚が設置できないため、支間長比が1:3:1の割合になり、橋台部に負の反力が発生する計算結果となりました。対策として、側径間の箱桁内部にコンクリートを充填し、重量を増加させ橋台部に負の反力が発生しないような構造としました。
轟橋は平成10年10月に架設され、四万十川の水位が上昇しても周辺住民やキャンプ場の利用者が安全に通行できる橋梁として利用されています。

鏡川水道橋耐震診断

 

■業務名:鏡川水道橋耐震診断委託業務

■発注者:高知市

業務の概要                             

1.業務概要
 鏡川水道橋は、昭和54年3月に完成した橋長149.0mの3径間ニールセン系ローゼ橋です。下部工は、デザインを重視したY字型橋脚であり田中賞受賞橋梁です。  今後30年以内に60%の確率で発生すると予想されている南海地震に備え、耐震診断を行い耐震補強の計画・設計を実施したものです。
2.技術的な特徴
①本水道橋は、ケーブル系の上部工であり、Y字型橋脚のため地震時の挙動が複雑な橋です。非線形時刻歴応答解析による動的照査により耐震補強が必要であると判断しました。
②耐震補強は、RC巻立て工法、鋼板巻立て工法、炭素繊維巻立て工法を比較検討した結果、施工性、維持管理性、経済性よりRC巻立て工法を選定しました。
③施工時は、仮橋の施工延長が長くなること、仮設時の河積阻害が大きくなるため台船施工を提案しました。
3.技術的観点からの評価
 本業務では、河積阻害率に余裕があったためRC巻立て工法により効率よく補強することができました。巻立て部の鉄筋コンクリート断面に配置された軸方向鉄筋は1本おきにフーチングに定着させました。定着させた軸方向鉄筋により橋脚基部の曲げ耐力の増加をはかり、段落し部の損傷が先行して発生しないようにしました。  配筋方法により曲げ耐力を調整することで基礎構造への負担を軽減することが可能となりました。近年、仮締切や仮橋等の仮設費が大きいことから、地震力低減を目的として粘性ダンパーの採用が増加しています。今後の耐震補強設計では、免震化を含む上部構造の慣性力の分散化に着目し、コスト縮減を図ることが重要です。

自然環境保全をテーマとした道路・構造物設計

 

■業務名:藤地区ふるさと農道緊急整備測量設計委託業務(平成11年)

■発注者:中村耕地事務所

業務の概要                             

 本道路は後川中流域に位置し、周辺は農業の盛んな地域ではあるが、道路が未整備のため、後川により地域が東西に分断されている。ここに連結する交通路を整備することにより、分散した団地を有機的に連結させ、近代的で活力ある高生産農業地域を構築していくものである。
 整備計画に当たっては、周辺環境が豊かであることや、近年の自然環境の保全への要請から、生態系調査の実施や景観設計を行いながら、自然環境保全を考慮した路線とした。

内訳:測量、生態系調査(道路環境調査[植物・動物]陸上植物、ほ乳類、両生及び爬虫類、昆虫類、鳥類、魚介類[秋、冬、春、夏])、景観設計、農道設計530m(小橋梁実施設計)、橋梁基本設計150m(護岸予備含む)、用地調査 委託額合計約63,000千円

 道路構造規格は3種4級、幅員全福は8.95m(2@2.75+2.0片側歩道)、設計速度は30㎞である。路側の盛土の裏面は、生態系や環境に配慮し植栽が可能なジオテキスタイルの補強土を採用した。側溝は、小動物が落ちても這い上がれるよう側壁を緩勾配とし、自然石張りとした。防護柵は景観を考慮して、ガードケーブルを採用した。

 トンネル抗口は、景観を考慮し竹割り型を採用した。橋梁は、河川条件や景観を考慮して3径間連続箱桁橋を採用した。なお、生態系に配慮して道路照明は省略することとした。