鏡川水道橋耐震診断

 

■業務名:鏡川水道橋耐震診断委託業務

■発注者:高知市

業務の概要                             

1.業務概要
 鏡川水道橋は、昭和54年3月に完成した橋長149.0mの3径間ニールセン系ローゼ橋です。下部工は、デザインを重視したY字型橋脚であり田中賞受賞橋梁です。  今後30年以内に60%の確率で発生すると予想されている南海地震に備え、耐震診断を行い耐震補強の計画・設計を実施したものです。
2.技術的な特徴
①本水道橋は、ケーブル系の上部工であり、Y字型橋脚のため地震時の挙動が複雑な橋です。非線形時刻歴応答解析による動的照査により耐震補強が必要であると判断しました。
②耐震補強は、RC巻立て工法、鋼板巻立て工法、炭素繊維巻立て工法を比較検討した結果、施工性、維持管理性、経済性よりRC巻立て工法を選定しました。
③施工時は、仮橋の施工延長が長くなること、仮設時の河積阻害が大きくなるため台船施工を提案しました。
3.技術的観点からの評価
 本業務では、河積阻害率に余裕があったためRC巻立て工法により効率よく補強することができました。巻立て部の鉄筋コンクリート断面に配置された軸方向鉄筋は1本おきにフーチングに定着させました。定着させた軸方向鉄筋により橋脚基部の曲げ耐力の増加をはかり、段落し部の損傷が先行して発生しないようにしました。  配筋方法により曲げ耐力を調整することで基礎構造への負担を軽減することが可能となりました。近年、仮締切や仮橋等の仮設費が大きいことから、地震力低減を目的として粘性ダンパーの採用が増加しています。今後の耐震補強設計では、免震化を含む上部構造の慣性力の分散化に着目し、コスト縮減を図ることが重要です。